髭(ヒゲ)の円形脱毛症とは?6つの原因や対処法を徹底解説!
髭も髪と同じように円形脱毛症にかかることがあります。もしかかってしまった場合、病院で治るのでしょうか?本記事では髭などの円形脱毛症の症状やメカニズムを画像付きで解説し、一般的な対処法をご紹介。更に髭の場合に特化した有効な対処法を2つ紹介します。
目次
髭の円形脱毛症になったけどどうしたら治る?
頭髪の円形脱毛症はよく耳にしますが、髭や眉も円形脱毛症になることがあります。もし髭の円形脱毛症になってしまった場合、どうしたら治るのでしょうか。
この記事では髪、髭、眉などの一般的な円形脱毛症のメカニズムや特徴、原因を解説し、病院での対処法を紹介します。
また、髭の円形脱毛症の場合はどう対処すれば良いか、その方法を2つ紹介します。
髭の円形脱毛症で悩む方はぜひ参考にしてください。
髭などの円形脱毛症のメカニズム
まずは円形脱毛症とはどういうものなのか、その症状や種類、メカニズムを詳しく解説します。
円形脱毛症とは
髭や眉毛などの脱毛症
円形脱毛症とは、髭や眉毛などに突然現れる円形や楕円形の脱毛です。その多くは10円玉大の脱毛が1ヶ所または多数現れてきますが、頭髪が全て抜け落ちたり、全身の毛が抜けるといった場合もあるのです。
また、抜け落ちた後に発毛してきて完全に元の状態に戻っても、再発する場合もあります。
円形脱毛症の特徴
初期の症状
円形脱毛症は、何の前触れもなく、ある日突然毛が抜け始めることから始まります。
集中的に一部の毛が抜け始め、よく見ると地肌の見える部分できていたら、円形脱毛症の始まりと思ってほぼ間違いないでしょう。
脱毛部分とそうでない部分の境目がはっきりとしていて、脱毛部分は円や楕円形です。
円形脱毛症にかかる人はアトピー性皮膚炎や鼻炎などのいわゆるアトピー体質であることが多いのも特徴です。また、爪のツヤが無くなったり、爪に小さな窪みや溝ができていることがよくあります。
進行中の症状
円形脱毛症が進行している時は、脱毛部周囲の毛を引っ張ると、痛みも無くするっと抜けてしまいます。
また、健康な抜毛にはしっかりとした毛根がついているのですが、円形脱毛症にかかった抜毛には毛根が無いのが特徴です。
進行中は寝起きの枕などにも毛が多くついた状態で、脱毛班が広がっていきます。
回復中の症状
円形脱毛症の進行が止まって回復期に入ると、脱毛部位の周囲の毛を引張っても簡単には抜けなくなります。
脱毛部位には毛穴が見え、よく見ると細くて短い羽毛のような毛が生えてきているのを確認できるでしょう。
円形脱毛症は10円ハゲだけではない
円形脱毛症と言うと一般に10円ハゲのような状態を想像しますが、実は円形脱毛症は10円ハゲだけではありません。
円形脱毛症には次の6つのタイプがあります。
- 単発型:10~500円玉大の脱毛が単発で発症
- 多発型:2ヶ所以上の部位に脱毛が発症
- 多発融合型:脱毛班がくっついたり重なったりして広範囲に及ぶ
- 蛇行型:蛇行するように抜ける
- 全頭型:頭髪が全て抜け落ちる
- 汎発型:全身の体毛が抜け落ちる
発症年齢は赤ちゃんから高齢者
円形脱毛症は赤ちゃんから高齢者まで幅広い年代で発症しますが、特に子供に多く見られ、患者の1/4が15歳以下で発症しています。
子供の円形脱毛症は全頭型や汎発型など重くなる場合が多く、治療にも根気が必要になるケースが多いです。
再発率が5年で7割
円形脱毛症は再発率が高く、5年で7割が再発すると言われます。
また、脱毛のタイプや重症度が再発のたびに変化するのも特徴です。単発型で発症したのが再発時には全頭型になったり、多発型になったりします。
病原体を守る免疫が敵に
私たちの体は、免疫機能によって細菌やウィルスの侵入から守られています。ところが、免疫機能が自分自身の細胞や組織を異物と認識して攻撃してしまうことがあるのです。
円形脱毛症は、毛根を異物と認識して攻撃することが原因で毛が抜けてしまうと考えられています。
髭の円形脱毛症の6つの原因(画像あり)
髭も画像のように、円形脱毛症にかかることがあります。髭の円形脱毛症にはどのような原因が考えられるのでしょうか。
ここでは6つの原因について解説します。
①自己免疫疾患によるもの
かつては円形脱毛症の原因はストレスや疲労だと考えられていました。しかし現在ではストレスや疲労が引き金になる場合があるものの、根本的な原因は自己免疫疾患であるという説が有力となっています。
自己免疫疾患とは、自分の体を守るためにあるはずの免疫機能が誤作動を起こして、自分自身の体の細胞を攻撃してしまう病気です。
円形脱毛症は自己免疫疾患によって自身の毛根を攻撃することで起こります。
また、円形脱毛症の患者には甲状腺の病気やリウマチなどの自己免疫疾患を持つ人が多く、このことも自己免疫疾患が原因ではないかと考えられる理由となっています。
②アレルギーによるもの
アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、金属アレルギー、花粉症など様々なアレルギーがありますが、円形脱毛症はアレルギーとの関連性も指摘されています。
円形脱毛を発症した人の約40%はアレルギーを持つという研究結果も発表されています。
③深剃りによるもの
髭のかなり濃い人は、一日に何度も髭を剃ることも多いでしょう。しかし、深剃りで肌に刺激を与えすぎると皮膚が炎症を起こし、脱毛につながる危険性があります。
④悪性円形脱毛症によるもの
円形脱毛症がだんだんと大きくって重症化すると、全頭脱毛症になる場合があります。全頭脱毛症とは悪性円形脱毛症のひとつで、頭の毛が全て抜け落ちた状態です。
そのような症状と共に髭も抜け落ちて行った場合は、悪性円形脱毛症による髭の脱毛であると考えられます。
⑤汎発性脱毛症によるもの
汎発性脱毛症とは、悪性円形脱毛症のひとつで、円形脱毛症から始まった脱毛が全身に広がって、眉毛や脇毛、スネ毛といった全身の毛が失われていく症状です。
汎発性脱毛症になると、髭ももちろん全て抜け落ちてしまいます。
⑥アトピー素因との関係によるもの
円形脱毛症の症状が重い人ほど、アトピー素因を持っている確率が高いことがわかっており、円形脱毛症はアトピーと非常に関連性の高い病気です。
アトピー素因を持つ人は円形脱毛症が再発しやすく、また、治りにくいと言われています。
髭などの一般的な円形脱毛症の対処法
髭などの円形脱毛症の対処法には次の9つがあります。
- 局所免疫療法
- ステロイド局所注射
- 内服薬
- 外用薬
- 紫外線療法
- スーパーライザー療法
- 冷却治療
- 点滴静注ステロイドパルス療法
- ウィッグ(かつら)の使用
それでは、以上の9つの対処法について1つ1つ解説していきます。
対処法1.局所免疫療法
局所免疫療法とは、脱毛部位の肌にかぶれを起こすことで発毛を促す方法です。
肌にかぶれを起こすと、脱毛部位の毛根を破壊している免疫細胞が皮膚の表面に集まり、毛根への攻撃を食い止める効果があります。
長期間の治療法
この治療法ではかぶれを起こすための物質を肌に少量塗り、徐々に濃度を上げて反応を見るということを繰り返します。
肌に負担をかける治療法であるため、じんましんや湿疹、かぶれなどの副作用を起こす可能性を考慮して、半年から1年程度かけてじっくりと取り組みます。
約9割に発毛効果がある
局所免疫療法は、約9割の人に発毛効果があると言われる治療法です。
広範囲に脱毛している患者に有効で、子供にも使用可能です。しかし国内では保険適応していないため、自費治療になります。
対処法2.ステロイド局所注射
脱毛班にステロイド剤を注射する方法です。単発型や多発型の脱毛に対して行われる治療法です。
ステロイドの副作用に注意
注射には強い痛みを伴います。また、長期間に及ぶと皮膚が薄くなったり、注射したところが陥没したりする副作用が出る場合があります。
そのため子供には使用できません。
対処法3.内服薬
次に、髭などの円形脱毛症に効果的な内服薬を紹介します。
内服薬①セファランチン
単発型や多発型脱毛に、他の治療法との併用で使用されます。
血流の促進やアレルギーの抑制効果が認められる薬で、胃の不快感や食欲不振といった副作用が起こる場合があります。
内服薬②ステロイド内服
高い効果が認められていますが、服用をやめると脱毛が再発する危険性が高いため、子供には使用できません。
脱毛が重症化して広範囲に広がった成人の患者に使用される治療法です。
内服薬③抗アレルギー薬
第2世代抗ヒスタミン薬とも呼ばれ、アトピーやアレルギー性鼻炎などのアレルギー症状に効果のある薬です。
単発型や多発型の脱毛で、アトピー素因を持った患者に有効性が認められています。
内服薬④グリチルリチン、メチオニン、グリシン複合剤
単発型や多発型の円形脱毛症に効果が認められています。
副作用としては、血圧の上昇や腹痛が起こる場合があります。
対処法4.外用薬
次に、髭などの円形脱毛症に効果的な外用薬を紹介します。
外用薬①塩化カルプロニウム外用
フロジン液とも呼ばれている外用薬で、円形脱毛症に効果が認められています。かゆみやかぶれ、発汗などの副作用が起こる場合があります。
外用薬②ステロイド外用
アレルギーの免疫反応を抑制する効果がある外用薬です。
皮膚科で一般的に使われ、数多くの実績と研究報告があります。
外用薬③ミノキシジル外用
血管拡張剤として開発された薬で、その後髪の育成や脱毛に効果が発見されました。世界90か国以上で承認された、育毛剤にも配合されている成分です。
対処法5.紫外線療法
皮膚の免疫状態改善に使われる治療法の1つが紫外線療法です。数ヶ月間、2週間に1~6回程度の間隔で治療を行います。
紫外線療法は重度の患者向け
全頭型や汎発型での効果が確認されており、重度の円形脱毛症の治療法として行われます。
肌の炎症やかゆみなどの副作用が起こり得るため、子供への使用には不向きです。
対処法6.スーパーライザー療法
スーパーライザー療法とは、直線偏光近赤外線照射療法とも呼ばれ、体の奥深くまで到達する赤外線(近赤外線)を脱毛部位に照射する治療法です。
単発型や多発型の治療に使用されています。
筋肉や関節の治療にも使用される
スーパーライザーは患部の血流を改善して痛みを緩和する作用があるため、筋肉や関節などの治療にも使用されています。
副作用が軽い
スーパーライザーは副作用が軽く、手軽に治療を受けることができるのが特徴です。
対処法7.冷却治療
ドライアイスや液体窒素などを当てることで患部を冷やし、毛根を攻撃している免疫細胞の働きを抑制して脱毛を止める方法です。
急激に冷やすため多少の痛みを伴いますが、副作用のほとんど無い治療法だと言えます。
対処法8.点滴静注ステロイドパルス療法
3日間点滴を使用してステロイドを大量に体内に投与することで、免疫機能を抑え込む方法です。
急速に進行している患者向けの療法
この治療法が有効なのは、発症後6カ月以内の重症の脱毛症患者であるとされています。
子供にはステロイドの大量投与は成長を阻害する可能性があるため使用できません。
入院する必要がある
この治療法は点滴を打ち続けるため入院する必要があります。副作用としては、頭痛や発熱、動悸などが出る可能性があります。
対処法9.ウィッグ(かつら)の使用
直接的な治療ではありませんが、ウィッグ(かつら)の使用は大きな効果があると言えます。
海外では医療機器として扱われる
ウィッグ(かつら)には紫外線を避けたり、頭皮を衝撃から守る効果があります。さらに、海外では医療機器としても扱われています。
精神状態が良好になる
ウィッグ(かつら)を着用することで、周りの視線を気にすることなく普段通りの生活をおくることが出来ます。
精神的な負担が軽減されることは大きな効能であると言えるでしょう。
髭の円形脱毛症の2つの対処法
ここで、髭の円形脱毛症の対処法を2つ紹介します。
病院で治してもらう
ここまで解説してきたように、髭などの円形脱毛症には様々な治療法が研究、開発されています。
有効性が証明された治療法も多くあるので、民間療法などに頼るよりもやはり病院での治療がおすすめです。
ただし、効果が高いとされる治療法ほど、副作用のリスクが高いので注意が必要です。
病院で治療に当たる場合は、自分の体質をしっかりと医師に相談し、副作用の危険性を十分考慮しながら治療法を考える必要があると言えます。
髭を脱毛する
髭の円形脱毛症を逆手にとって、髭を全部脱毛するという方法もあります。それなら、病院での治療のように、副作用はありません。
また、髭の脱毛には多くのメリットがあります。
- 清潔感が増す
- 毛穴が引き締まって美肌になる
- 髭剃りの必要が無くなる
まず、髭が無くなると清潔感が増して、顔色が明るくなります。毛穴が引締まり、ツルツルの美肌にもなれるのです。
さらに髭剃りに費やしていた手間と時間が必要無くなるのは、大きなメリットになります。
髭の円形脱毛に悩むよりも、逆の発想でキレイに脱毛してしまうというのもおすすめです。
髭の円形脱毛症になったら迷わず病院で診てもらおう
髭の円形脱毛症になったら、迷わず病院で診てもらうことです。どの治療法も、できるだけ早期に始めた方が効果が高いことには違いありません。
自分の体質や、円形脱毛症になった経緯などを医師に相談し、最も適切な治療法を考えましょう。
しかしもし効果的な治療法がなかなか見つからない場合や、根本的に発想を変えて悩みを絶ちたいといった場合は、脱毛サロンでの髭脱毛を考えてみるのも一つの方法です。病院と併せて検討してみましょう。